"昔々、小さな女の子、ルリがいました。ルリのママ、キョウコは、いつも正しいことばかりを言いました。「これは、あなたのためなのよ」と、キョウコはいつも言いました。"
"ルリが泣いていると、キョウコは言いました。「甘えちゃだめよ。泣いても何も解決しないわ」ルリが失敗すると、キョウコは言いました。「当然の結果よ。もっとちゃんと考えて行動しなさい」"
"ママの言葉は、まるで鋭いガラスのようでした。ルリの心に、そのガラスの破片がチクチクと刺さっていきました。ルリの心は、だんだんと傷だらけになっていきました。"
"ルリが大きくなると、自分の気持ちをママにぶつけようとしました。でも、キョウコはもっと強いガラスの刃を振りかざします。「あなたは感謝を知らないわ」「世間知らずね」"
"友達とのおしゃべりも、将来の夢も、ママの物差しで測られ、いつも「それは間違い」と否定されました。ルリは、息が苦しくて、ただただ息を潜めていました。"
"ルリが「ごめんなさい」と言っても、「何が悪かったか分かってるの?」と聞かれます。「ありがとう」と言っても、「当たり前でしょう」と返されます。ルリは、自分の感情を隠すことを覚えてしまいました。"
"ルリの心は、硬い石のように閉ざされていきました。本当はただ、ママにぎゅっと抱きしめて欲しかっただけなのに。「大丈夫だよ」と、たった一言言って欲しかっただけなのに。"
"ルリは、今でも耳に残るママの冷たい声に震えています。あの「正しさ」の影で、ルリの心は、少しずつ壊れていったのです。"
"ママはきっと、気づかないでしょう。その「正しさ」が、ルリをどれほど苦しめてきたかを。"
"ルリは、これ以上、心が傷つかないように、そっとママから遠ざかっていくのでした。ガラスの心は、もう誰も触れられないくらい、固く閉ざされてしまったのです。"
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