ネギとソースと時々うどん comedy story for 7-12 years children in Japanese featuring humorous themes

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ネギとソースと時々うどん

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"スネ神ツルタネは、スカル民族の産神である。その使命は、天寿を全うした者をネギに作り替え、魂をお浄めすること。長生きした者は甘くて立派な長ネギに。そうでもなかった者は、まあ、それなりの白ネギになる。今日も今日とて、ネギ畑は豊作だ。「みんな、いいネギになったねえ!」ツルタネの声は、いつだって陽気だ。"
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"一方その頃、コンクリートジャングルの片隅に、その組織はあった。その名も「ゴリラボス団」。雇われボスのゴリラは、今日も今日とてお気に入りのソースのり弁を頬張っていた。「このソースの染み具合、暴力的なまでに完璧だ…」彼の美学は、常にソースの粘度と共にある。"
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"しかし、ボスの忠実なる部下、ウサギのウドンキーたちの心は、ソースの香りから遠く離れていた。「ボス、今日のランチはスーパーやさしさ本舗の冷凍うどんにしませんか?」「…却下だ。男は黙ってソースのり弁。異論は認めん」ボスと部下の間には、利根川よりも深く、暗い溝が横たわっていた。"
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"ある日、ゴリラボスは古文書(という名の週刊グルメ雑誌)で驚愕の事実を知る。「なんだと…?スネ神ツルタネが作り出す『神のネギ』…?これを入れれば、ソースのり弁は神々の食べ物へと昇華する…だと!?」ボスの目は、かつてないほどギラついていた。"
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"「行くぞ、ウドンキーども!目指すはスネ神の聖地!史上最強のソースのり弁を完成させるのだ!」ボスの号令一下、ゴリラボス団は聖地へと出発した。ウドンキーたちは、うどんへの未練を断ち切れないまま、ボスの巨大な背中を追いかけるのだった。(旅のBGMは、もちろん演歌だ)"
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"聖地に到着した一行。そこにいたのは、想像よりもずっと気さくな神様だった。「やあやあ、いらっしゃい!ゴリラボス団だっけ?噂はかねがね!いやー、そのスーツ、イケてるね!」スネ神ツルタネは、やけにフレンドリーだった。"
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"ゴリラボスは単刀直入に切り出した。「神のネギをよこせ。俺のソースのり弁を完成させるために必要だ」「ああ、これかい?悪いけど、これは売り物じゃないんだ。彼らは浄化されたスカル民族の魂そのもの。いわば、来世への片道切符さ」ツルタネは、畑のネギを優しく撫でた。"
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"その言葉を聞いた瞬間、これまで黙っていたウドンキーの目がカッと見開かれた。「ボス…聞こえましたか…?『来世への片道切符』…つまり、最高の『うどんの出汁』が出るってことじゃ…!?」ソースのり弁への忠誠心は、うどんへの渇望によって、いともたやすく上書きされた。"
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"「うおおおお!究極のうどんを作るのは俺だー!」ウドンキーは、持っていた冷凍うどんの袋を投げ捨て、ネギ畑に突進した。「まて、よさんか!それは俺のソースのり弁の…いや、そうじゃない!」「こらー!人の魂で出汁を取ろうとするなー!」ゴリラボスとスネ神ツルタネの静止も、もはや彼の耳には届かない。"
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"「仕方ない…君も、お浄めしてあげよう」スネ神ツルタネが一閃すると、ウドンキーは光に包まれ、一本の極太うどんに作り替えられてしまった。ゴリラボスは、そのうどんを無言で受け取ると、持参したソースのり弁の上に乗せ、静かに天を仰いだ。「…これもまた、ひとつの完成形か」空は、やけに青かった。"
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