"ハルトは学童が大好きだった。特に、親友のケンタと遊ぶ時間は宝物だった。二人はいつも一緒で、秘密基地を作ったり、新しいゲームを考えたりしていた。"
"ある日、学童に新しいゲーム機がやってきた。みんながそれに夢中になった。ケンタもその一人だった。ハルトはゲームがあまり得意ではなかった。"
"「ハルト、一緒にやろうぜ!」ケンタは最初、ハルトを誘ってくれた。でも、ハルトがうまくできないと、周りの子たちが少しずつ嫌な顔をし始めた。"
"「ハルトがいると負けちゃうよ」「あっちで遊んでてよ」。そんな声が聞こえるようになった。ケンタも、だんだんハルトを誘わなくなった。ハルトは一人で本を読んだりして時間を過ごすようになった。"
"ある雨の日、学童の先生が「みんなで大きな絵を描こう!」と提案した。大きな模造紙が床に広げられた。でも、ハルトは輪の中に入っていけなかった。"
"ハルトは、隅っこで自分の小さなスケッチブックに絵を描き始めた。それは、みんなが知らない、不思議な生き物たちの世界だった。色とりどりの木々、空飛ぶ魚、笑う花。"
"ふと、ケンタがハルトのそばにやってきた。「何描いてるの?」ケンタは、ハルトの絵を見て目を見開いた。「すげえ…こんなの見たことない!」"
"ケンタの声に、他の子たちも集まってきた。「うわ、なにこれ!」「この空飛ぶ魚、かっこいい!」。みんな、ゲームのことなんて忘れて、ハルトの絵に夢中になった。"
"「ハルト、この絵、みんなで描いてる大きな紙にも描こうよ!」「この生き物の話、聞かせて!」。みんなが口々に言った。ハルトの顔が、ぱっと明るくなった。"
"ハルトは、自分の描いた不思議な生き物を、大きな模造紙の真ん中に描き始めた。みんながその周りに、それぞれの絵を描き足していく。学童には、ゲームをしていた時よりも、もっと大きな笑い声が響き渡った。ハルトは、もう一人じゃなかった。"
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