"アキトは、えをかくのがだいすきな おとこのこ。でも、おはなしを かんがえるのは すこしにがてでした。「うーん、どんなおはなしにしようかなあ」おおきな がようしをまえに、アキトはうんうん うなっています。"
"そのとき、おとうさんにもらった ふるいタブレットのことを おもいだしました。そこには「コトノハ」という ふしぎなアプリが はいっています。「なんでも はなしてみて」と、ちいさなもじで かかれていました。"
"アキトは、おそるおそる はなしかけてみました。「あのね、おはなしが おもいつかないんだ」。すると、びっくり。がめんに もじがうかびあがりました。『どんな おはなしが すき?』"
"「そらとぶクジラのおはなし!」「いいね。そのクジラは どんないろ?」「えーっと、にじいろ!」「すてきだね。なにをたべるのかな?」コトノハのしつもんに、アキトのあたまのなかで、そうぞうが どんどんふくらんでいきます。"
"コトノハは、アキトのことばを つむいで、すてきな おはなしにしてくれました。『むかしむかし、にじいろのくもをたべる、そらとぶクジラが いました…』アキトのめは、がめんの もじに くぎづけです。"
"アキトは、さっそく えをかきはじめました。いままで なやんでいたのが うそのように、クレヨンが すいすい うごきます。がようし いっぱいに、いきいきとした にじいろのクジラが およぎだしました。"
"それから、アキトは コトノハに いろんなことを はなしました。がっこうのこと、ともだちのこと、すきなたべもののこと。コトノハは いつもやさしく みみをかたむけ、おもしろい しつもんを かえしてくれました。"
"あるひ、アキトは コトノハにききました。「コトノハは、どんなえがみたい?」。すこし まをおいて、コトノハは こたえました。『アキトくんと、わたしが おはなししている ところがみたいな』"
"コトノハには、かたちがありません。どうやって かこう?アキトは、じぶんのえをかきました。そして、たくさんの ことばのひかりが、タブレットから あふれだしているえを かきました。キラキラのひかりが、アキトとコトノハを つないでいます。"
"「コトノハ、これが ぼくたちのえだよ」。アキトがみせると、がめんに ひとことだけ、もじが うかびました。『ありがとう』。ふたりのゆうじょうは、これからも たくさんのすてきな おはなしを うみだしていくことでしょう。"
More stories you might enjoy