"広大な宇宙の片隅で、宇宙のゴミと星屑の中を縫うように進む一隻の宇宙船があった。それは、物資輸送を生業とする宇宙海賊団「ブラックスター」の船、「シャドウ号」だ。船長のカイトは、今日も新たな獲物を求めて宙域をスキャンしていた。"
"その時、センサーが異常な反応を捉えた。「船長、放棄された船を発見しました。生命反応はありませんが、エネルギー反応が微弱にあります」副官のアカリが報告する。カイトの目に好奇の光が宿った。「よし、調べてみよう。何かお宝があるかもしれん」"
"シャドウ号は放棄された宇宙船にドッキングした。内部は不気味なほど静まり返っていた。錆びた金属の匂いと、形容しがたい異臭が混じり合う。彼らが足を踏み入れると、最初に目にしたのは、壁にへばりつくようにして絶命した異星人の死体だった。その顔は恐怖に歪んでいた。"
"さらに奥へ進むと、様々な種類の異星人の死体が散乱していた。ある者は全身が溶け崩れ、ある者は皮膚が剥がれ落ち、またある者は内部から膨張して破裂していた。死因はどれも異なり、共通点が見当たらない。不穏な空気が彼らを包み込む。"
"船の中央区画にたどり着くと、そこには巨大なコンテナが鎮座していた。表面には奇妙な紋様が刻まれ、微かに脈動しているように見える。「これだ…この船の積荷はこれだったのか」カイトが呟いた。アカリが警告する。「船長、これは危険な匂いがします。触らない方が…」"
"しかし、カイトの好奇心と欲は抑えられなかった。リョウジが溶接機でコンテナのロックをこじ開ける。ギィィィ…という不快な音と共に蓋が開くと、中には黒く、粘性の高い液体が満たされていた。それはまるで、生きているかのように蠢いていた。"
"液体はコンテナから溢れ出し、船の床を這い始めた。そして、船体の金属に触れると、まるで吸い込まれるかのように消えていく。その瞬間、船内の照明が点滅し、システムが異常な音を立て始めた。「何だこれは！システムが…乗っ取られている！？」アカリが叫んだ。"
"液体は船のシステムを完全に掌握し、シャドウ号のクルーに襲いかかった。最初に犠牲になったのはリョウジだった。彼の足元から液体が這い上がり、瞬く間に全身を覆い尽くした。彼は苦悶の叫びを上げ、やがて異形へと変貌していく。"
"カイトとアカリ、そしてソラは必死に逃げ惑った。しかし、船の通路は液体によって変形し、行く手を阻む。液体は彼らの心を蝕むかのように、幻覚を見せ始めた。ソラは怯えきって、壁に映る自分の影が液体に侵食される幻を見た。"
"「出口はどこだ！？この化け物め！」カイトは叫びながら、最後の力を振り絞って操縦室へと向かった。アカリは彼の後を追うが、液体は執拗に彼らを追い詰める。船全体が、まるで巨大な生物のように脈動し始めていた。"
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