ぶんきちの だいぼうけん adventure story for 3-6 years children in Japanese featuring warm themes

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ぶんきちの だいぼうけん

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"いちろうくんが病院に行ってしまってから、お部屋はしんとしていました。ベッドは空っぽ。いつもにぎやかだったおもちゃたちは、寂しくてたまりません。「いちろうくん、どこへいっちゃったんだろう」黄色いヘリコプターのぶんきちは、鳩笛のぽっぽと顔を見合わせました。隣では、新入りおもちゃの赤い風車が悲しそうに首をうなだれています。"
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"「そうだ!ぼくたちで、いちろうくんをさがしにいこう!」ぶんきちが言うと、黒いくまのくまくんも賛成しました。「でも、どこにいるの?」「大丈夫、きっと見つかるよ!」ぶんきちは、特徴的な機首の下にあるプロペラを力強く回しました。"
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"机の上を見ると、一枚のメモがありました。そこには、いちろうくんがいる病院の場所が書いてあります。「これだ!」ぽっぽとくまくん、そして赤い風車は、ぶんきちの広い胴体の中に乗り込みました。ぽっぽが、くちばしでしっかりとメモをくわえました。"
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"準備はできました。「しゅっぱつだ!」ぶんきちは、みんなを乗せて、開いた窓から明るい昼間の空へと飛び立ちました。眼下には、緑の公園や家々が広がっています。"
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"ぶんきちはメモの地図を頼りに、ぐんぐん進みます。公園の上を飛んでいると、下から大きな影が追いかけてきました。この間の、怖い犬です!「ワン!ワン!ワン!」犬はぶんきちに向かって、ものすごい勢いで吠え立てました。"
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"「うわあ!」ぽっぽとくまくんはびっくり。ぶんきちは急いでスピードを上げました。「みんな、しっかりつかまって!」ぶんきちの中で、ぽっぽとくまくんは赤い風車を真ん中にして、体を寄せ合いました。風を切る音がびゅんびゅんと鳴り響きます。"
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"なんとか犬を振り切り、大きな病院が見えてきました。「着いたぞ!」ぶんきちが言ったその時、プロペラの回る音がだんだん小さくなり、とうとう止まってしまいました。電池が切れてしまったのです。ぶんきちは、病院の前の植え込みに、静かに不時着しました。"
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"「どうしよう、動けなくなっちゃった」ぽっぽとくまくんが困っていると、ひとりの優しい女の人が通りかかりました。病院で働く、さくらという看護師さんです。「あら、こんなところにおもちゃが。どうしたのかしら?」"
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"さくらさんは、鳩笛の裏に「いちろう」という名前が書いてあるのを見つけました。「いちろうくん!この子、わたしの担当の患者さんよ」さくらさんは、おもちゃたちをそっと拾い上げると、いちろうくんの元へ届けました。「いちろうくん、応援団が来たわよ」"
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"数日後。手術は無事に成功し、いちろうくんは元気になって退院です。ぶんきちたちも一緒の車に乗っています。病院の玄関では、さくらさんが手を振って見送ってくれました。「さくらさん、ありがとう!」いちろうくんも、ぶんきちたちと一緒に、にこにこ笑顔で手を振り返しました。"
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